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タイトル: 一ノ瀬へ再び 年月日: 1993年5月 場所: 一ノ瀬高原キャンプ場(山梨県)
あらすじ: 92年5月の連休に一ノ瀬高原で寒さを実感した我々は、次にシュラフを購入しました
夏が来て、ぼくらは田舎の川で遊び、一年がたち、また五月となりました
もう一度一ノ瀬に行こう、そう決めてさっそくキャンプ場に向かいました
ところが、この年は異常気象。ぼくらのキャンプ場にも時ならぬ雪が降りましたが、
新しいシュラフにくるまって子供達はすっかり寝込んでいました
しかし、そろそろキャンプの食事メニューのことを真剣に考えないといけないな、ぼくはそう思ったのでした

 

□□93年5月

 92年の五月に自前のテントでキャンプをおこなったのだが、当時のぼくらにとって、2泊3日程度のキャンプであろうと、それは家庭における大きなイベントだった。その夏も、子供達は田舎のおじいちゃん、おばあちゃんのところで過ごした。また川に行き、バーベキューをした。

 秋が過ぎ、もう一度キャンプに行きたかったが、布団と毛布では忍び寄ってくる冷気を防ぎきれないということが判っていたため、二の足を踏んでいる間に、また次の年が来てしまった。
 春、ぼくはわが妻かおりさんと三たび、池袋の
SRCに出かけ、次の連休に向けてシュラフの買い出しに出かけた。どんなことがあっても暖かいもの。車で移動するのが前提だから多少大きくても良い。それで選んだのがモンベルファミリーバック#2という化繊の大きなシュラフだった。

 今度はシュラフがある。早くテントをたてたい。それで温々のシュラフに入ったらきっと気持ちいいだろう。ぼくは去年と同じ道がとても長く感じられた。一年ぶりの
一ノ瀬高原キャンプ場であったが、景色はそのままで、犬たちは母屋の下に新しい犬小屋を造ってもらい移り住んでいた。今度のサイトは大きな桜の木の下だった。

右手上に管理人さん宅
手前がお風呂
テーブルにはクロスがかけてあり
テントの横にはコンテナボックス
だいぶキャンプに馴れてきています

 キャンプ場の母屋から左手の道を下っていくと、ぼくらのサイトに出る。ぼくは、テントとタープを前回と同じように張り、テーブルを出した。マサキはさっそく落ち葉や枯れ枝を集め始める。早く焚き火をしようというわけだ。今日のメニューはビーフシチューだ。ぼくは焚き火の上に金網を敷き、買ったばかりのコッヘル(スノーピーク製)で肉のかたまりを焼き、シチューの素をいれた。パーコレータでコーヒーを沸かした。

スノーピークのコッヘルでシチュー
パーコレータでコーヒーも入れてます
この後雪が降ってきました

 山の時間は早い。日が陰るとシンシンと冷え込んでいった。子供達は七輪の周りで暖を取っている。最後まで七輪で遊んでいるのはマサキだ。トモカもタクヤもテントの中で幸せそうにシュラフにくるまっている。

『おとーさん、
だ、だ』

 マサキの声で外に出てみると、空から大きな白い花びらのような雪が降っていた。雪はみるみるうちにつもり始めた。しっかり張ってあるはずのタープの上にも重い春の雪が貯まり始める。ぼくは時々タープの雪を落としながら、マサキと夜の見張りについた。その夜はとても寒かったが、新しい
シュラフは夜の冷気を見事に防いでくれた。そのうち子供達もぐっすり眠ったようだった。

時ならぬ雪(よおく見ると子供の後ろに白い物が)
子供達はタープの下の七輪の周りに集まります

 翌日は晴れ。昨日降った雪はすぐに溶けて無くなった。朝ご飯は、昨日のシチューの残りと漬け物。子供達があっという間に食べてしまって、すぐに無くなってしまう。去年と同じ量では足りない。それにしても、キャンプの食事は難しい。これまで作ったメニューといえば、カレー、シチュー、焼き肉、焼きそば、卵焼き、野菜炒め。そしてお茶漬け。そんなものだった。もっとバリエーションを増やしたい。クーラーボックスが欲しい。冷蔵する食材が増えれば、もう少しましな食事ができる。それと、コンロだ。ツーバーナー。今度はあれを買おう。いつまでも七輪とホーエブスでは料理の幅が広がらない。ぼくは、隣りのテントのご夫婦の様子をぼんやりと見ながら考えていた。

 子供達は、よその家の子供と仲良くなって、どこかに遊びに行ってしまった。下の川から、やつらがはしゃぎ回る声が聞こえる。ぼくは、この年の秋によもや
転勤なんてことが自分の身に降りかかることなど、思いもせず、これからどんな道具を揃えればいいのか、焚き火の煙をぼんやりとながめながら考えていたのだった。

 

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